技術紹介(橋梁)
高力スタッドボルトを用いた片面当て板補強工法
特徴
高力スタッドボルトは、摩擦接合に適用できる片面施工用のスタッドボルトです。
鋼構造物の部材接合や腐食・疲労損傷の当て板補強に適用できます。
- 閉鎖断面や部材裏面に舗装・コンクリートがある部材の補強を片面からのみで施工可能
- 孔あけが不要なため既設部材を傷つけず耐力低下がない
- 摩擦接合用高力スタッドボルトとして、ボルト等級F8T相当の強度を確保
- 高力ボルト用締結工具により、所定のボルト軸力を確実に導入できる
高力スタッドボルト
機械的性質
高力スタッド・座金・ナットセット
スタッド溶接施工試験
引張試験より、所定の引張強さを確保しつつ、スタッド溶接部で破断せずにボルトねじ部で破断することを確認しています。
曲げ試験より、ハンマー打撃で15°まで曲げても溶接部に割れ等の欠陥が発生しません。
性能確認試験
すべり試験
すべり試験より、高力ボルト摩擦接合と同等の継手耐力を有することを確認しています。連結板側のボルト孔には拡大孔を採用していますが、すべり係数μ=0.4以上を満足できます。
引張試験
引張試験より、母板中央部に断面欠損(幅100×深さ4×長さ100mm)を模擬した部材を当て板補修すると、健全時レベルまで耐荷性能が回復します。
引張試験
荷重-相対変位の関係
破断状況
疲労試験
疲労試験より、高力スタッドボルトで当て板補強したスタッド溶接部の疲労耐久性を検証しています。
S-N図より、当て板補強したスタッド溶接部の疲労強度は、当て板補強無しに比べて、疲労強度が2等級向上します。
スタッド疲労試験
疲労き裂
S-N図
Uリブ鋼床版の下面当て板補強
鋼床版デッキプレートとUリブ溶接部の疲労損傷に対する下面当て板補強工法の施工効率化ならびに品質向上に取り組んでいます。
Uリブ鋼床版の疲労損傷
Uリブ鋼床版は、アスファルト舗装を介して輪荷重を直接支持するため、大型車交通量が多い重交通路線で、疲労損傷が発生しています。疲労損傷の内、デッキプレートとUリブの溶接ルート部からのき裂が多数報告されています。
Uリブ鋼床版
ビード貫通き裂
下面当て板補強工法
デッキプレートと当て板をM20高力スタッドボルトにより摩擦接合しています。
鋼床版下面から当て板補強が可能なため、交通規制が不要で、天候影響を受け難く、計画的に施工できます。
下面当て板補強構造
高力スタッドボルトの施工事例
下面当て板補強工法の施工性確認および品質管理項目を検証するため、実橋での現場施工試験を実施し、積算根拠資料等の貴重な施工データを収集しました.なお、現場施工試験は、阪神高速道路株式会社との共同研究の成果です。
当て板補強状況
当て板補強完了
スタッド上向き溶接システム
スタッド上向き溶接システムは、
- 上向きスタッド溶接装置
- 支持レール
- テンプレート
- 溶接条件モニタリング
から構成されます。
本システムにより、鋼床版下面へのM20スタッド溶接の安定した品質および出来形を確保することができ、施工時の電流・電圧・アーク時間等の要否判定と記録も可能です。
スタッド上向き溶接システム
下面当て板補強の施工手順
特許・意匠・NETIS
高力スタッドボルト
- 特許番号:
- 第6556490号
- 意匠番号:
- 第1533000号
- NETIS登録番号:
- QS-170046-A
スタッド上向き溶接システム
- 特許番号:
- 第6415917号
- NETIS登録番号:
- QS-170047-A
鋼床版補強構造
- 特許番号:
- 第6343214号