技術紹介(橋梁)
合成床版『ADS床版』
特徴
- 本合成床版は、床版下面の底鋼板をアーチ形状とし、ハンチ部の応力をスムーズに伝達させます。
- 孔あき横リブとスタッドジベルを用いて、底鋼板とコンクリートの一体化を図っています。
- 高い耐荷力、高い疲労耐久性が各種実験、構造解析などにより確認されています。
- 主桁と底鋼板は、ピンチプレートで押さえつける構造とし、現場での施工性に配慮しています。
- 底鋼板同士の連結は、高力ボルト接合とし、配力筋方向に対しても十分抵抗できるような継手構造を採用しています。
構造
適用構造物は、主に、2主I桁橋、細幅箱桁、開断面箱桁橋です。他にトラス橋、アーチ橋などへの適用も可能です。
主な構造諸元
- 底鋼板の最小板厚は8mmです。
- 横リブは孔あき鋼板リブを500mmピッチで配置し、底鋼板との接合は6㎜の連続すみ肉溶接とします。
- 鋼板パネルとコンクリートとのずれ止め構造として、横リブに50~60㎜の丸孔を350㎜ピッチ以下で設け、孔には鉄筋径D16の貫通鉄筋を設置します。また横リブ間に頭付きスタッドを配置します。
- 主桁と底鋼板パネルとの取り付けは、ピンチプレートで底鋼板を押さえつける構造とし、横リブ間に1箇所配置する。
性能確認試験
ADS床版の性能を確認するために、輪荷重走行試験、連続合成桁負曲げ試験、ずれ止め押抜きせん断試験、型枠剛性確認試験などを実施しています。
輪荷重走行試験
当社では、平成16年7月に独立行政法人土木研究所の輪荷重走行試験機を用いた試験を実施し、高い疲労耐久性を確認しています。
輪荷重走行試験では、最大392kN(40tf)、52万回に至るまでの疲労耐久性を確認しました。
連続合成桁負曲げ試験
当社では、平成17年4月に社団法人 日本建設機械化協会 施工技術総合研究所において、連続合成桁にADS床版を用いた負曲げ試験を実施し、連続合成桁の中間支点上でRC床版と同等のひび割れ制御が可能であることを確認しています。
試験体は、以下の2体を実施しました。
ADS-A: 配力鉄筋D22×125ピッチ2段鉄筋比2.2%(ハンチ含む)
ADS-B: 配力鉄筋D22×100ピッチ2段鉄筋比2.6%(ハンチ含む)クラックバスター使用
ずれ止め押抜きせん断試験
ADS床版では、底鋼板とコンクリートの一体化を図るために、ずれ止めとして孔あき鋼板ジベルとスタッドジベルを用いています。2種類のずれ止めを併用することによる合成効果を押抜きせん断試験により確認しました。
試験体は、各ずれ止め単独のタイプと併用タイプの3種類としています。
併用タイプは、ずれ剛性で8:2の分担比率となりましたが、ADS床版の設計時は、安全性を考慮して孔あき鋼板ジベル単独でせん断力に抵抗できるように設計しています。
充填性確認試験
ADS床版の横リブにフランジを取り付けた構造のコンクリート充填性を確認するために、フランジの刃を下向きに7%の縦断勾配を付けてコンクリートを打設し、充填性を確認しています。試験体を切断して横リブフランジ下面部、横リブ孔部およびスタッド部を確認したところ、コンクリートの充填性は良好 でした。ただし、実工事では、横リブのフランジは縦断勾配の高い方へフランジの刃を向けることを基本にしています。